1時間座ると寿命が22分縮む!?その原因と根拠を解明
「1時間座ると寿命が22分縮まる」
アメリカでの報道をきっかけに大きな波紋を呼び起こしました。
ショッキングな表現ですが、その情報源を探ると
科学的な調査の結果に基づくものでした。
現代人は「座り病」とも言われ始めています。
生活習慣病が一向に減らない原因として、「生活スタイル」が問われています。
目次
「1時間座ると寿命が22分縮まる」情報源
2011年8月15日に発表されたオーストラリアでの研究結果です。
Br J Sports Med 2012;46:927-930 (←原文はこちら)
オーストラリアは肥満大国でもあるので、国をあげて対策活動を行っています。
そして、この論文の著者は、オーストラリアの国民調査の結果を分析したところ
「テレビを1日に6時間見る人は、まったく見ない人を比べて4年8カ月寿命が短かった。」と報告しています。
25歳から毎日6時間テレビを座って見続けた場合、1時間あたり22分寿命が短くなる計算になる。
というものです。
この論文が伝えようとしていること
一説によれば、「たぼこ1本を吸うと寿命が11分縮まる」とも言われているそうです。
それより有害なことが「座ってテレビを見ること」だとすると、非常にショッキングですよね。
この論文はなにも私たちを恐れさせる為に書かれた訳ではありません。
同じ姿勢を続けることがいかに健康に悪いか。
体を動かすこと(筋肉に刺激を与えること)がいかに有益か。
を伝えようとしているのです。
1日11時間座る人は3年以内の死亡リスクが40%増大
他にも、座りすぎが良くないことを伝えている論文がありました。
「座る時間が1日11時間以上の場合、他にどれほど運動していても、
3年以内に死亡するリスクが40%以上高まる」というものです。
Arch Intern Med. 2012;172(6):494-500 (←原文はこちら)
こちらもオーストラリアの研究結果で、
45歳以上の22万2,000人以上の自己申告データを分析した結果、
「座っている時間が1日に11時間を超えると死亡リスクが急増、
また8~11時間でも4時間未満の場合に比べて15%高かった」と報告しています。
オーストラリアは「座り病」先進国
オーストラリアは肥満の原因を「座り過ぎ」の生活スタイルにあると考え、
オーストラリアの小学校では立って授業を受けるところがあったり、
官民一体となって、座りすぎに警鐘を鳴らすキャンペーンを展開していて、
“オーストラリア人よ、立ち上がれ。”
といったメッセージ動画を流し、職場でも1日2時間以上立って過ごすことを勧めています。
日本は世界ワースト1
もっとショッキングな報告は、「我々日本人が世界でもっとも座る時間が長い」ということです。
世界の20の国や地域で座っている時間を調べると、
日本が1位、サウジアラビアが2位、台湾、ノルウェー、香港、チェコが3位だったそうです。
なぜ、座りすぎると良くないの?
立ったり歩いたりしている時は足の筋肉をよく使います。
筋肉を使うと、筋肉の細胞内では血液中の糖や中性脂肪が取り込まれ、エネルギーとして消費されます。
足の筋肉は身体のなかでももっとも大きな筋肉の一つです。
立つことは、エネルギー代謝に最も効果的な運動だったのです。
しかし、座った状態が長く続くと全身をめぐる血流に余分な糖や中性脂肪が多くなり、
狭心症、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病などのリスクが高まることが分かってきたのです。
また、筋肉の刺激は糖や脂肪の消費だけでなく、
私たちの体にある様々な代謝のスイッチを押してくれる役割もあることが
最近の研究で解明されてきています。
まとめ
「座りすぎ」に関する衝撃的な研究結果が続々と報告されていますが、
だからと言って、「立ちっぱなしが良い」と言っているわけではありません。
立ち仕事は、腰痛などのリスクもあります。
結論として、「同じ姿勢をとり続けることは健康に良くない」ということ。
言い換えると、「健康のために運動を考えるなら、立ち上がるだけでいい」ということです。
「立ち続けなくても、30分に1回立ち上がるだけでいい」とも言われています。
これくらいなら、意識して実践可能ですよね。
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