ピーマンの栄養効果と効能 ウソ・ホント
夏に旬を迎える野菜の一つ、ピーマン。
実は唐辛子と同じグループの一栽培品種がピーマンです。パプリカも同じ。
食べる側の使い分けで、辛いものを「唐辛子」、辛くないものを「ピーマン」、
肉厚なものを「パプリカ」と呼び分けています。
子供が嫌いな食べ物の代表とされるピーマン。
「栄養があるんだから残さず食べなさい!」と言われていますが、
それって、本当なのでしょうか?
ピーマンの栄養効果とその効能について調べた所、意外なウソ・ホントが見えてきました。
ピーマンの栄養
ピーマンは大体1個50gくらい。
炒めものなどでは1食に1個程度なら食べることができます。
ピーマンの油炒めの1食、50gあたりの栄養素を充足率の高いものからランキングでご紹介します。
ここでいう充足率とは、30歳未満の成人女性が1日に必要とする栄養素をどの程度満たしているのかを%で表したものです。
1位 ビタミンC (47%)
2位 ビタミンK (25%)
3位 モリブデン (12%)
4位 ビタミンB6 (11%)
5位 ビタミンE (8%)
5位 食物繊維 (8%)
7位 銅 (5%)
7位 カリウム (5%)
このように、ピーマンはビタミンCを豊富に含む野菜です。
その他にも抗酸化ビタミンのビタミンE、ミネラル類もバランスよく含んでいます。
ビタミンCは調理などの加熱で分解し、熱に弱いビタミンとして知られています。
しかしピーマンの場合、油で炒めでもビタミンCは壊れません。 生とほぼ同じ含有量です。
ピーマンはビタミンCの補給食材としては有効です。
ピーマンのカロチノイド
ピーマンにも多くの種類がありますが、今回はご家庭でおなじみのあのピーマンに限定しています。
ピーマンの効果として、伝承されているものの中に
「ピーマンにはカロチノイドが含まれ。。」とされているものがありますが、
ピーマンにはカロチノイドは含まれますが、充足率では3%程度です。
おそらくカロチノイドが豊富なパプリカと混同しているものと思われます。
ピーマンの伝承的な効能
ピーマンの栄養効果の他に、伝承されている様々な効能があります。
例えば、
・ピーマンにはカプサイシンやピラジンという成分が含まれている
・それらの成分は種やワタの部分に多い
・種やワタを食べることでダイエットや血流改善になる
このようなものです。
実際に証明されているデータがあるのかどうか、文献検索をおこなってみました。
しかし、残念な事に実証されたデータは見当たりませんでした。
ピーマンとカプサイシン
カプサイシンはトウガラシの辛味成分。ほんの少しでも人は辛味を感じます。
ピーマンに辛味を感じる事はごく稀にありますが、その場合はもう青唐辛子扱いですよね。
辛味から多くは食べられません。
また、カプサイシンと構造が似ていて辛味はなくてもダイエット効果のある成分
カプシノイド(カプシノエイト)はトウガラシの中でも辛くない特別な品種にしか入っていません。
一般的なピーマンにはそのような効果は殆ど期待できません。
ピーマンとピラジン
ピーマンにはピラジンが含まれています。
ピーマンの独特の香りを構成している重要な成分です。
ピラジンがワタの部分に多いというデータを見つけることは出来ませんでした。
ピーマンの香味成分ですから、無理にワタの部分を食べなくても
ピーマンそのものを食べれば十分です。
また、このピラジンの血流改善効果についてもデータを見つけられませんでした。
ピラジンは香りの構成成分の一部なので、大量に含まれる成分とは考えにくいです。
ピーマンが子供に嫌われる訳
ピーマンとピラジンの関係を調べていると意外な研究結果と巡り会いました。
それは、なぜピーマンが子供に嫌われるのか?という研究です。
ピーマンの渋み成分の一つである「クエルシトリン」にピーマン特有の香り成分「ピラジン」が加わると苦味が生じることが判明
平成24年日本農芸化学会 タキイ種苗とお茶の水女子大学
子供がピーマンを嫌い!という最大の理由が「苦み」があるからです。
これまで散々子供に嫌われてきましたが、その苦みの成分に関する研究はされてきませんでした。
面白い事に、ピーマンには「苦み成分」というものは存在せず、
「渋み成分」 + 「香り成分」 = 「苦み」
になっている事が分かったのです。
渋み成分はクエルシトリンというドクダミに多く含まれるポリフェノールの一種。
そこに、ピーマン特有の香り成分「ピラジン」が加わることで初めて
ピーマン独特の「苦み」が生じているのです。
タキイ種苗では、この仕組みを解明し、苦みの少ないピーマンの品種を作ったそうです。
その名も「こどもピーマン」!
大事なビタミンCなどの栄養素も従来のピーマンより多く入っています。
今のところこどもピーマンを野菜売り場で見かけませんが、
ピーマン嫌いなこどもの救世主になるかもしれませんね。
まとめ
ピーマンには様々な品種があるので、品種によっては様々な効能の伝承がありますが、
残念ながら一般的なピーマンには期待できなさそうです。
しかし、夏野菜の代表格のピーマンはビタミンCが豊富な野菜です。
こどもの好き嫌いを容認するかどうかは、教育方針によりますが、
品種改良によってその不人気さも改良される日が来るかも知れません。
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