クコの実の効能、栄養成分の全解剖!本当の効能はコレ!
杏仁豆腐の上に乗っている赤い実。 あれがクコの実です。
クコの実は、日本ではあまり知られていませんが、
スーパーフードとして世界ではゴジベリーと呼ばれ、注目されている食材です。
中国では漢方薬によく使用されていて「枸杞子」と言われています。
漢方薬では実だけでなく、葉(枸杞葉)や根(地骨皮)も使用さていますが、
日本では地骨皮は医薬品扱いなので食べられません。
アメリカの有名な女優さんが実践していることでブームとなっているスーパーフード。
その中に取り上げられた「クコの実」
漢方や東洋医学に触れた事がある人からすると、
色々な漢方に処方され、超お馴染みの生薬です。
過激な作用がないことから「上品」に分類されています。
勝手なイメージですが、「田舎のおとなしい子」がハリウッドデビューのような感じがします。
巷では様々な効能が書き立てられ始めていて、まるで週刊誌に踊らされているかのようです。
そんな訳で、クコの実には実際にどんな効能が研究され、明らかにされているのか改めて検証してみました。
目次
クコの実の栄養成分
クコの実の栄養成分は文部科学省が出している栄養成分表には記載がありません。
なので、成分研究した結果からデータを拾いました。
主要成分:多糖類
乾燥果実の多糖類は最高で23%にも及ぶそうです。
アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、キシロース、ガラクチュロン酸
などが複数つながって、色んな種類の独特の多糖類を作っています。
その構造などの研究は多く、19種類以上の多糖類が報告されています。
カロチノイド類
多糖類についで多い成分です。
カロチノイドの中でもゼアキサンチンと言われるタイプのカロチノイドが半分を占めます。
その他、β-クリプトキサンチンやβ-カロチンも含まれています。
ビタミン類
カロチノイドはビタミンAとして働きますが、その他のビタミンも含まれています。
ビタミンB2、ビタミンB1なども含まれており、
ビタミンCは100gあたり42mg(レモンに匹敵)含まれています。
しかも、クコの実に含まれるビタミンCは体内でビタミンCになる前駆体の状態でも含まれているので壊れにくいビタミンCと言えます。
その他の成分
植物が作り出す成分をフィトケミカルと呼びますが、クコの実にも様々なフィトケミカルが報告されています。
・フラボノイド (ミリセチン、ケルセチン、ケンフェロール)
・精油成分と脂肪酸 (hexadecanoic acid, linoleic acid, β-elemene, myristic acid, ethylhexadecanoate)
・アミノ酸 (プロリン、タウリン、ベタイン)
・ステロール (β-シトステロール)
・アルカロイド (lyciumide A:ドーパミン誘導体)
巷で謳われている効能
・老化防止、美肌 ・冷え性改善 ・女性ホルモンバランス改善 ・眼精疲労
など、その他にも色々な効能情報が溢れています。
色々な効能が出回ってる原因としては、きっちりとした臨床データがまだ少ないからです。
その割に漢方などの歴史書のような形で残っている伝承的な効能や
クコの実に含まれる微量成分の作用がクコの実の作用とされているなど、
様々な情報が混同されています。
クコの実の本当の効能
クコの実自信を食べた時にどのような効能が得られるのか?
残念ながら、大規模な臨床実験データはまだまだ少ないのですが、
動物実験などでクコの実の効能を検証しているデータはたくさんあります。
有効に働くかどうか分からない微量成分についての効能ではなくて、
クコの実に含まれる成分全体の働きから効能を見ていくことにします。
・生活習慣病予防
多糖類やカロチノイド、ベタインなどは体内での抗酸化作用が確認されています。
クコの実の多糖類には高脂肪食で飼育したマウスのLDL値、中性脂肪、コレステロール値を下げる作用があり、
クコの実の煎汁を与えた糖尿病のうさぎの血糖値を低下させる作用も報告されています。
・免疫調整(抗がん)作用
多糖類のいくつかは、IL-2やTNF‐αを高めることが細胞実験で報告され、
免疫調整による抗がん療法の期待が寄せられています。
前立腺がん細胞や乳がん細胞の増殖抑制効果も報告されています。
・肝機能保護作用
クコの実に含まれているゼアキサンチンやセロビオシドの抗酸化作用により
マウスでの肝臓機能を保護する作用がマウスで確認されています。
クコの実の副作用
クコの実の副作用として、ベタインの副作用が用いられ、妊婦や授乳期の人の摂取を控えることを進めているケースがあるようです。
妊婦や授乳期の人への作用はどんなものでも確認のしようがないので
クコの実に限らず、積極的に勧められるもののほうが少ないです。
クコの実自身の毒性評価は特に危険性を示すデータはなく、
生薬としての長い食経験から考えると安全な食材です。
しかし、医薬品との相互作用は報告例がいくつかあり、
ワーファリンを使用している人は食べるのを控えたほうが良いようです。
また、果物のアレルギーを持っている人もアレルギーを誘発する可能性があり、
注意が必要なようです。
以上の実験データの出展は下記総説論文の内容に基づきます。
Planta Med 2010; 76(1): 7-19
Goji (Lycium barbarum and L. chinense): Phytochemistry, Pharmacology and Safety in the Perspective of Traditional Uses and Recent Popularity
まとめ
クコの実は突如スーパーフードとしてもてはやされていますが、
生活習慣病予防や肝機能保護など、地味な効能を持っています。
クコの実には面白い成分が多く入っているので、
今後の研究では世間の注目を集める研究が発表されるかも知れません。
例えば、資生堂が発表した
「枸杞(クコ)の実エキスの経口摂取による紫外線誘発性皮膚傷害防御効果」
(応用薬理 83(3), 39-45, 2012-10-31 )
などは非常に興味深いですね。
田舎からデビューした女優さんがハリウッドスターになる日を
暖かく見守りたいと思います。
私は大学の、卒業研究で枸杞を使用したいと考えています。しかし枸杞をどのように研究材料にするかまだ模索中です。なにか良い案がありましたら、ご教授頂けたら幸いです。
村松さん、コメントありがとうございます。返信が遅くなりスミマセン。 もう卒業研究テーマは決まってしまいましたででしょうか? 村松さんの専攻がどのような研究室なのか分からないので、ピンポイントな案を提案できないかも知れませんが、成分研究と有効性を明らかにした研究はまだまだ少ないように思います。特に多糖類は構造が複雑なので研究が進んでいません。 また、産地の違いによる成分の違いなども知見が少ないです。 個人的にはアルカロイドは生理活性が高い事が多いので、新たな機能性が見つかることに期待したいと思っています。